海外駐在員になることが決まると、わくわくすると同時に「英語で仕事をスムーズに進められるか」「現地での生活を充実させられるか」と不安になる方も多いことでしょう。私自身もそうでした。
本記事では、海外駐在員はどのくらいの英語力が必要なのかを現役海外駐在員の筆者が徹底解説。英語力に不安を抱える方のために、短期間で効率的に英語力を伸ばすおすすめの勉強方法もご紹介します。
海外駐在員は英語が話せる?TOEIC何点?
結論から言うと、海外駐在員に選ばれる人は、元から英語が話せるという人が非常に多いです。
企業が海外赴任を依頼するということは、現地での仕事をすべて任せるということになります。そこに、英語力ゼロの人員を送りこむのは、まだ歩けない赤ちゃんに「競争してこい!」と言うようなものです。そもそも歩けない赤ちゃんがレースで勝てるわけがありません。
英語でミスコミュニケーションがあれば、問題に発展することもあります。クライアントとの関係が悪くなることもあるでしょう。
そのような理由から、企業はもともと英語を話せる人を海外駐在員として仕事を依頼するケースが多いです。大手企業になると、海外駐在前に語学研修に行かせることもあります。
海外赴任の多い総合商社では、「入社何年目までにTOEIC700点」と基準を設けていることもあります。本当の英語力はTOEICスコアではわかりませんが、企業が人事異動を決めるためのわかりやすい指標になるからです。
TOEICを運営するIIBCによると、海外赴任・海外駐在のTOEICスコア基準は570〜810点だそうです。
しかし実際、海外駐在員として働くにはもっと高いスコアが必要です。筆者が大学生の頃には600〜700点でしたが、リスニングが全くできませんでした。
仕事をスムーズに進められる海外駐在員を目指すのであれば、最低でもTOEIC700〜800点が必要だと感じます。
TOEIC800点は、TOEIC受験者の約17%しか取得できないので、人事部にわかりやすく「英語ができますよ」とアピールできる数字です。TOEIC800点取得に必要な単語数は約8,500語程度。文法の基本的知識をしっかり身につけた上で、語彙や表現を増やしていくことで取れるスコアなので、努力も買われます。
海外駐在員に求められる英語力(発音)とは?
海外駐在員はもともと英語を話せる人が多いと話しましたが、中には中学生レベルの英語力で海外駐在員としての仕事をスタートさせる人もいます。また、カタカナ発音で突き通す人もいます。
海外駐在員に求められる英語力は、以下の条件によって大きく異なります。
①駐在国が英語圏かどうか
駐在先がアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアなど英語が母国語の国では、高い英語力が必要です。ネイティブスピーカーであるクライアントや従業員と、同等に話し、対応していかなくては仕事がスムーズに進みません。カタカナ発音だと、聞き取ってもらえなかったり、冷たい視線を浴びることさえあります。
同じ英語圏でも、シンガポール、フィリピン、南アフリカなど、英語を第二言語として話す国の場合は、発音には優しいです。流暢に英語が話せなくても、正しいコミュニケーションがとれれば問題ありません。お互いに第二言語なので内容を汲み取ろうとする姿勢が見えます。
②仕事環境
社内に日本人が多いかどうかでも、求められる英語力は異なります。社内に日本人が多い場合は、コミュニケーションはほとんど日本語です。ボスにだけ英語、対社外だけ英語など、英語を使う場面が限られてくるので、準備もし易いでしょう。
社内に日本人がほとんどいない場合は、毎日英語を使っての仕事になります。特に現地の従業員(労働者)を相手にする場合は、意図を汲み取る力が少ない人もいるので、高い英語力が求められます。嫌われない、やる気がでるような言い回しや雰囲気なども重要です。
③クライアント
日系企業、外資系企業どちらがクライアントかでも、求められる英語力は変わってきます。メールや電話、商談、プレゼンテーションなど、日常的に使う英語の頻度や重要性が異なります。
日系企業がクライアントの場合は、日本人担当者がいることがほとんどです。日本人の海外駐在員同士でやりとりすることも多く、高度な英語力がなくても仕事ができます。
外資系企業がクライアントの場合は、日々のコミュニケーションがすべて英語です。電話越しで商談をすることもあるので、高い英語力が求められます。
④仕事内容(役職)
仕事内容によっても必要な英語力はそれぞれです。営業職の場合は、コミュニケーションによって成果が大きく変わるため、高い英語力が必要です。ネイティブと肩を並べて話せる英語レベルでないと、相手にされないこともあるでしょう。
マネージャー職の場合も、英語の部下をまとめなくてはならないので、高い英語力が不可欠。拙い英語だと、ミスコミュニケーションが起こる、部下の不満に繋がる、部下に馬鹿にされるなど良い結果を生みません。さらに営業職、マネージャー職は、会食も現地の人とする機会が多いので、やはり英語力が大事になってきます。
特に海外の人の会食では、自分の意見を聞かれたり、日本や自分の家族の事情を聞かれたりすることがあります。わかりやすくユーモアを交えて話せる英語力が必要です。(日本の飲み会のようにただ飲んでいたら良い感じではない)
研究職や技術職の場合は、そこまで流暢な英語力は求められません。しかし、専門知識に関する英語を知っておく必要があります。また現地の労働者に指導する場合は、わかりやすく丁寧な英語でフォローする必要があります。
海外駐在員になることが決まり、英語が不安なら、駐在国の環境や社内環境を把握しておきましょう。英語力が上がると、自然と年収アップにもつながると思います。
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海外駐在員は英語ができなくても問題なし
海外駐在員になることが決まった時点では英語力が低い人もいますが、それでも大丈夫です。絶望することはありません。
決まってから海外赴任までの間に勉強をし、さらに赴任先で実践を積むことで徐々に英語力を身につけていく人もたくさん目にしてきました。
実際私も、海外駐在員をしている間に劇的に英語力が伸びました。それには、英語が得意でなくても「英語が苦手」という意識を捨ててしまうことが大事だと思います。
間違っても良いからたくさん英会話をしてアウトプットしている人は、どんどん英語がうまくなっていきます。積極的に英語を話そうとする人は、ネイティブスピーカーの人も応援してくれるように感じます。
海外駐在員の英語勉強法3選
海外駐在員が英語力を飛躍的に伸ばす勉強法を3つご紹介します。大前提として中学英語の知識は必要不可欠です。中学英語というのは、S(主語)V(述語動詞)O(目的語)C(補語)の文型や5W1H(疑問)、時制の一致、関係代名詞などです。
中学英語を勉強したあとは、この3つがおすすめの勉強方法です。
①ビジネス英会話集1冊丸暗記
海外赴任前にビジネス英会話集を1冊買い、言い回しや単語を丸暗記してしまいましょう。海外駐在員として仕事をスムーズに行うためには、確実に内容が伝わるビジネス英語が必須だからです。実践していくうちに、表現法は自然と増えていきます。まずは定型文でも良いので、正しく伝えていくことが大切です。
ビジネスに最低限必要な英単語は3000単語ほど。毎日10単語ずつ、1ヶ月300単語を目指せば、半年〜1年間程度で習得可能です。
②英語Youtubeを毎日見る
赴任国のアクセントで話す英語Youtuberを見つけ、毎日見るようにします。海外駐在員が必ず苦戦するのがリスニングだからです。ネイティブスピーカーはとにかく早くので、赴任してしばらくは聞き取れないことが多いです。
「耳が慣れる」という言葉の通り、海外で暮らしているうちになぜか聞き取れるようになりますが、すぐに仕事をしなくてはならない海外駐在員は最初から聞き取れるのがベターですね。また、Youtubeならその国で旬なスラングもわかります。
③なりきり英会話(独り言)
海外駐在員が英語力を上げるには、とにかく話すことです。②のYoutuberのセリフをそのまま真似しても良いですし、自己紹介、今日の出来事、友達に話したいことを声にだしてつぶやいても良いでしょう。
仕事のプレゼンの練習と同じですね。練習をせずに口にすると、スムーズにはいきません。何度も練習していれば、いざその場面になったときも、体が覚えていてスッと口から英語が出てきます。
◎まとめ
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外駐在員に求められる英語力は、赴任国や仕事内容などによって異なります。
中には英語が話せないまま海外駐在生活をスタートさせる人もいますが、仕事でのミスコミュニケーション、生活でのトラブル対応などに英語は必要不可欠です。海外生活の充実度も変わってくるので、個人的にはできる限り英語力は伸ばしてから海外駐在に挑んだ方が良いと思います。
海外駐在がスタートするまでの期間に英語力アップの習慣を取り入れ、いざ駐在生活が始まったらたくさんの外国人と積極的にコミュニケーションを取ることがおすすめです。